日本酒ができるまで
原料になる米は玄米から精米されます。通常の食用米(飯米)は90%程度の精米ですが、酒米はそれよりも多く磨き、高級酒である大吟醸等になると50%を下回ることも多々あります。米の外側に比べ中心部に米のうまみ成分であるデンプン質が多く含まれることを最大限活用するため磨きあげます。
ご飯を炊く時に水が多いと軟らかくなり少ないと硬くなります。日本酒造りにおいても洗米から浸漬(水につける)時間は非常に重要であり、一般的にストップウォッチを使い時間を秒単位で管理しています。
洗った米を蒸し上げます。日本酒造りにおいて麹、酒母、仕込みと色々な工程がありますが、米の蒸し加減で日本酒の味が左右されるため重要な工程です。専門用語で「外硬内軟でさばけのよい蒸米」に仕上げることが大切です。
蒸米を麹室に取り込み麹菌を植えて麹を造ります。この工程は日本酒造りにおいて、一麹、二酛(酒母)、三醪(もろみ)と3つの重要なポイントがありますが、その一番目のポイントで、麹は米のデンプン質を糖化させブドウ糖をつくる重要な役割をします。特定名称酒では仕込み総米の15~20%程度が麹となります。
仕込水、麹、蒸米に酒母(酵母)を加えます。麹がデンプンをブドウ糖に変える働きをするのに対し酒母(酵母)はそのブドウ糖をアルコールに変える働きをします。これを「並行複発酵」といい世界中の醸造酒に負けない高い技術が要求されます。酒母の別名を「酛」といいまさに酒造りの「もと」となります。
仕込水、麹、酒母、蒸米を加えて行います。通常は三回にわけ四日間で仕込みます。これを三段仕込みといい、1日目を「添」といい、2日目は酵母の増殖の為、仕込みをお休みします。これを「踊り」といいます。3日目は「仲」と呼ばれる2回目の仕込を行います。最終4日目は「留」と呼ばれる仕込を行います。この日を醪日数の一日目と数えます。
当社では仕込~もろみ~上槽までの間を自動制御にて品温管理しています。これにより昼、夜を問わず品温を制御できますので、もろみの早湧きや冷え込みがなく酒質の向上に役立ってます。
通常、仕込後20~30日間並行複発酵を繰り返したもろみは成分が整って酵母の働きも落ち着いてきます。そしてフィルタープレス(通常、槽とよばれます)にて清酒と酒粕にわけられます。
上槽した日本酒は白濁しておりこれを数日間放置すると底部に白色の混濁物質が沈殿します。これと清澄な日本酒を分離することをおり引きといいます。濾過は大きく2段階にわかれます。1次濾過は新酒を上槽後数日中に脱色・香味の調整のため少量の活性炭を投入撹拌したのち濾過、火入貯蔵します。
65℃前後にお酒を加熱殺菌します。これは生酒の中で生きている酵素類の活性を止める事を目的としています。火入れされた酒は生酒に比べ品質の劣化がおそくなる効果があります。
火入れされたお酒はタンクにて熟成されます。春に造り終えた酒は秋になり適度の熟成とまる味(旨味)が増してきます。
日本酒には米麹の中の糖化酵素が溶存し火入加熱と冷却操作により白濁現象(白ボケ)や時におりとなって沈殿します。これを防止するため、瓶詰め前に熟成した原酒を調合したものを調整のため再度活性炭を投入し撹拌しおり下げ剤にて凝集沈殿させた後、2次濾過します。
各品種別に瓶詰めされたお酒はこの後ラベルを貼り検品し、ようやく製品が完成します。